[書籍] 奥秩父 – 山、谷、峠そして人 – 山田哲哉

ぼくは奥秩父が好きだ。高校時代は山岳部に所属し登山を通して自然と親しんできた。地元の丹沢をメインに、奥多摩へもよく行ったが、なぜか奥多摩はあまり好きになれなかった。当時の記憶を辿ると不自然な防火帯に違和感を感じていたような気がする。

当然のことだが、山域によって山の雰囲気は全く異なる。地質が違うから景観が違う。気候が異なるから植物が動物が違う。

昔、奥多摩に違和感を感じたぼくがなぜ、奥秩父には違和感を感じないのだろう?奥秩父にも防火帯はあるし、まさかと思うほど山奥まで砂防ダムが造られている。すっかり齢を重ね感じ方が変ったのだろうか。


古くは田部重三氏、原全教氏のように奥秩父に魅せられた人はたくさんいる。山田哲哉氏は、奥多摩、奥秩父に中学時代に登り魅せられたそうだ。

この本には、奥秩父の魅力がこれでもかと詰まっている。知っている道、山域の箇所では「そうだそうだ。ぼくもそう思う!」とページをめくり、知らない道、入ったことのない山域の話では、「行ってみたい。次の連休に行こうか?」なんて考える。

山田氏がたどった頃の昔の奥秩父の風景、雰囲気が伝わってくる。原全教氏の「奥秩父」は、文体が古すぎていまいちのめり込めなかった。が、この山田氏の「奥秩父」ではどっぷりと奥秩父に浸ることができた。

第四章のテーマは「人」。原全教氏の「奥秩父」の書き出しが正に「人」であるのは偶然では無いはず。原全教氏は、自然の美しさだけではなく、当時秘境と呼ばれていた秩父山村に住む人々を世に紹介したかった(意訳)と書いている。

原全教氏の時代から少し時間が経ち、山田氏の時代では、山奥に人が暮らしていたという痕跡が消えかかりつつ残っている、そしてそれとともに昔の人が利用していた古道も消えつつあると書いている。

そういえば、ぼくが初めて一之瀬高橋の集落付近を訪れた時の事で最も印象に残っているは、村の社ではなく、休校中の学校校舎と校庭だった。ここに子供が暮らし、通っていたという痕跡なのだ。そういう意味で、ぼくが感じている「なぜか奥秩父がすき」の理由がわかった気がした。

書籍データ

書名: 奥秩父 – 山、谷、峠そして人
著者: 山田哲哉
出版社: 東京新聞
2011年 12月30日発行
343ページ

目次

プロローグ: この山には「何か」がある
第一章: 奥秩父「山」
第二章: 奥秩父「谷」
第三章: 奥秩父「峠」
第四章: 奥秩父「人」
エピローグ: 奥秩父とは何なのか

「[書籍] 奥秩父 – 山、谷、峠そして人 – 山田哲哉」への1件のフィードバック

  1. ご無沙汰してます。
    4月の人事異動で前職者の引き継ぎが全くいい加減で先日まで休み無しでした。
    あっちにも書きましたが、GWも仕事です。
    作戦会議を口実に、また皆さんと歓談したいなぁ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)