黒川鶏冠山と巡視道と金場沢金山跡@2021.10.02

2021年9月30日、長い間続いていた緊急事態宣言が解除されました。ようやく砂金採りに出かけられるなーと思っていると、週末に向けて台風(16号)接近中の予報が。

幸いな事に、台風は予報よりも速度を上げ日本列島の南側を通過しました。おかげで土曜日はザ☆台風一過の晴天。多少雨は降ったので川は増水しているはず。しかし、山なら多少ぬかるんでいたとしても歩けるでしょう。

というわけで黒川鶏冠山から北面へ流れ出るカネバ沢周辺を巡る「水源巡視道」を歩いてきました。実はこの水源巡視道、2019年に黒川鶏冠山へ登った時から気になっていたのです。

※ 金場沢、金山沢と書かれている文献があったりします。このblogの過去記事でも混乱して入り交じっていますが、金場沢が正しいようです。

丹波山村はもう秋

日の出直前で13度です。結構寒いです。

太陽が出るとポカポカと暖かくなって陽の光のありがたさを感じます。

空は雲一つ無い快晴。さすが台風一過です。途中で買ってきたおにぎりを食べながらぼんやりしてるとあっという間に暑くなってきました。

登り始め

緊急事態宣言解除後の最初の週末なので混んでいるかな?と思いつつ、いつものカナバ沢への降り口がある空き地に車を停めました。幸いな事に誰も居ません。丹波川の渓流釣りは10月から禁漁期に入りますので釣り人もおらず静かです。

前回と同様、落合口からとりあえず鶏冠山目指して登り始めます。道の駅でぼんやりしていた為、登り始めたのは08:00頃でした。

今回のコースは「空き地→落合口→十字路→黒川山→鶏冠神社奥宮→見晴台→横手山峠→十字路→水源巡視道→膳棚の滝→空き地」こんな感じです。

台風後の割に山は荒れていません。しかし、山全体がしっとりと湿っていて休憩しようにも座るところがないのには閉口しました。

黒川鶏冠山へのメインルート登り口は柳沢峠ですので、落合口から登る人は少なく道が荒れていません。更に北面を登っていく事になりますから、苔が美しいのです。北八へ行く苔観察ツアーとかあるようですが、丹波山村の苔も負けてないと思います!

所々紅葉している木もありますが、まだまだ緑が美しい。ふと下を見るとミズナラの葉っぱが落ちています。このしっとり湿ったミズナラの森・・・といえば、アレです。登山道から少し入り、根本やウロを見て回りましたが、残念ながら見つけられませんでした。

そんな時、不思議な網を見かけました。なんだろう?と調べてみると「シードトラップ法」という樹木が種子をどれくらい落としているかを調査する為の道具なようです。こういう地道な調査のおかげでブナの結実周期などが分かるんですね。

山頂へ到着

落合口から頂上へ着くまで誰一人見かけませんでしたが、頂上についた途端沢山の人が居て驚きました。単独の人、ご夫婦かな?仲良く二人で来ている人、登山サークルでしょうか?10人以上の団体さんもいらっしゃいました。

鶏冠神社奥宮も黒川山の見晴台もどちらも狭いので、あまり長居をせず、写真だけ撮って横手山峠まで一気に移動しました。なんたって今日の目的は水源巡視道なのです。

金場沢を下る水源巡視道へ

さて、横手山峠からこの分岐まで戻ってきました。

前回来た時は、この巡視道が黒川金山跡へ続いているかも!?とか考えていましたが、この付近にお詳しい樵路巡遊さんに質問をしたところ「歩いたことは無いが、この巡視道は金場沢に沿って下り膳棚の滝へ通じているようだ」と教えていただきました。

金場沢といえば、何度か砂金採りをして毎回敗退させられている沢です。そんな事もあり、この巡視道を歩いて上流部分を見てみたいと思っていたのです。


ほとんど人が歩かないためか、しっかりとした路盤があるのに落ち葉がフカフカしています。こういう道大好きです。もう少し秋が深まると、落ち葉の絨毯が素晴らしいのではないか?と思います。

金山沢の源頭部です。苔が美しいですね。ただ、なんというか周りの岩を見ても石英が貫入しているような雰囲気はなく、金の匂いがしない場所だなーという印象。
素人の印象です

水源巡視道は、わりと等高線に沿った水平移動が多くて歩きやすいです。

脇を流れる金場沢はぐんぐんと高度を下げていきますが、巡視道はその周辺の巡視が目的ですから、水平移動してとなりの枝沢へ向かっていきます。そのような時は、尾根を横切ることになります。尾根には大抵仕事道が通っていますので、注意しないと巡視道から外れてしまいそうになります。

うーん。金は出そうですか?ダメそうですかねぇ?なんて考えていると・・・

大規模な露頭掘り跡!?

静かな巡視道をゆっくりと歩いていると、ふと山側に違和感を覚えました。炭焼き窯跡かな?とも思ったのですが、ちょっと違う感じ。

なんだろう?とその広場風の場所へ入ってみると・・・これは大規模な露頭掘り跡に似ています。

以前、船越金山の付帯遺跡である「マルケバ(マルキバ)」へ訪れた時と同じか、それ以上の規模の凹みが付近一帯に見られました。写真にすると凹凸が分かりにくいのですが、かなり凹んでいるんです。

横を流れている沢は、カネバ沢支流。さっき越してきた尾根は、カネバ尾根。精錬の名が付く尾根は見当たりませんが、精錬場跡も近くにあるのかもしれません。

石碑とか無いかなぁ?とウロウロしましたが見つけられず。シーンと静まりかえった山奥の遺跡を一人で歩いていると、なぜか視線を感じて背筋がちょっと寒くなったり・・・

幽霊の寿命は500年

十分に凸凹を堪能し歩きだした、その時、前方20mくらいの所で「白い服を着た女性」が木から半身を出してこちらを伺っています・・・流石に20秒くらい立ち止まりました。ところで、日本の幽霊の寿命は500年と言われています。この辺りの遺跡は戦国時代の物と考えられるので、500年以上経っているはず。なので大丈夫。大丈夫。と心を落ち着けゆっくり近づいていくと光が木の枝に当たり白く見えていただけでした。目のように見えたのは葉が作る影でした。ふぅ。

単独行だとこういう時不安です。持っていたアマチュア無線機のスケルチを開けて気を紛らわせました。

ふと足下を見ると、中央部分が凹んだ石がありました。以前、湯之奥金山博物館の展示で見た「磨り石」!?磨り石にしては少し凹みの形がおかしいかな。。。

綺麗に整備された水源巡視道

金場沢金山跡を過ぎると、あとは淡々とした山道です。所々、枝道が交差して来るので方向を確認して巡視道から外れないように注意して歩きます。

ほんとうに美しい山道です。最近、整備し直されたようで、新しい橋がいくつも架けられていました。倒木を切った跡も何カ所かありました。

道の両側に鹿の侵入を防く金網が出てきたら、落合集落はすぐそこです。最期は一気に高度を下げて、膳棚の滝前に出ました。

前日の雨の影響か、水量が多く激しくダイナミックな水流をしばし眺めてから車へ戻りました。

金場沢金山跡

今回、偶然に見つけた金場沢金山跡ですが、見つけたのは当然なのかもしれません。というのも、水源巡視道は昔の道を利用して作られている場合が多いのです。今回歩いた水源巡視道も昔の金山衆が歩いた道なのかもしれません。

自宅に帰ってから、黒川金山遺跡研究会 1997 「甲斐黒川金山」(黒川金山遺跡の調査報告書ですね)を検索してみると、流石です、言及されていました。

「甲斐黒川金山」P.5 から引用

そして6ページの地図には「金場沢金山」の名前を見つけることができます。

「甲斐黒川金山」P.6 から引用

最期に

台風一過の天気の良い日にふらっと出かけた山で、意図せず金山跡を見つけることができました。ピークハントをして展望を眺めのも好きですが、こういうあまり知られていない場所を歩くのも楽しいです。

幽霊にも遭遇したし(笑)、刺激的な週末でした!

次は、「女郎ゴー」へ行ってみたいなぁ。

お約束

水源巡視道は東京都職員が水源林を巡視する為に整備された道で、危険な場所もたまにあります。このblog記事は、そのようなルートの登山を推奨するものではありません。

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