[QGIS] 高尾山北面の金穴の場所を推測する

明けましておめでとうございます。

昨年は砂金採りへも山へもほとんど行かれず、掘り納めへ行くことも出来ずに大晦日を迎えてしまいました。おまけに、年末年始とインコロで寝込んでしまいました 🙁

今年こそはと思いますが、すでに腰が痛かったりします。。。


さて、昨年、高尾山に昔に掘られた金穴があるかもしれないという記事を書きました。

その資料によれば「横:六から七間、高さ:9尺余りの入り口」だそうですから、MKSA単位系に直すと、おおよそで「横:10mちょい、高さ:3m弱」となります。思ったよりもかなり大きな穴ですね。

ところで、このような大きな穴が登山道から見えるところにあったとすれば、今はSNS全盛な時代ですから少しくらい穴があるといういうな情報が流れてくると思うのです。しかし、そのような書き込みを見かけた事はありません。ということは登山道から外れている可能性が高く、闇雲に探しても見つけられる可能性は低そうです…よね?

まずは地形図

国土地理院の地形図には等高線が書かれています。この等高線からある程度の地形を想像できます。地形図にはいくつか種類がありますが、最も細かい二万五千分の一の地形図の場合は、等高線間隔が10mになります。

この10m間隔というのは山を歩いたりするのならば十分な細かさです。この等高線から、尾根、谷、ピーク、鞍部などを想像して、進行方向の地形を予測しつつ歩くのです。

しかし、今回のように等高線から穴を探せるのか?と問われれば、結構厳しいのは試すまでもなく想像できるかと思います。

国土地理院地図

直接的に穴を認識できずとも、周辺の地形から人工物なのか自然の地形なのかを判別するコツがあります。が、等高線ではそれすらもなかなか厳しいです。そして、登山雑誌では定番の地図読み特集では、必ずと言って良いほど「等高線に現れない隠れピークに注意」と書かれています。

実際、道の無い山中を歩いていると隠れピークどころか地形図では見えているような沢でも見落とし通過したり、乗っていると思っていた尾根がじつは目的の隣の尾根だったり。なんて事がよくあります(私だけか?

では航空写真?

国土地理院地図(GSI Maps), Google Map, Yahoo Map, Bing Map など、ネット上には、詳細な航空/衛星写真の無料閲覧サービスがいくつもあります。

それぞれ特徴があるのですが、航空写真に関してはyahooとbingは同じ物を利用しているようにみえます(※ 標準地図は異なっています)。なので、その地点について3種類の航空写真が利用できるということですね。

砂金が採れそうな場所を探す時に、河川の蛇行具合などを確認したり、川の状態や付近の地物を調べるのに3種類の航空写真は便利なツールになります。更にGoogle Street Viewは、道路から(見えれば)現地の様子も確認出来ちゃいます。

しかし、上空からの写真なので樹林地帯では地面は見えませんし、北斜面は陰で真っ黒になっていたりと、地面の状態を調べるには航空写真は良い条件が重ならないとなかなか難しいのです。

今回のように、樹木が被っている場所で「山の中の穴を探す」という、用途には無力でした。

地形の傾斜を可視化した地図

地形図では等高線から地形の凹凸を人間が読み取り、その地形を推測していました。が、大まかな地形は想像できても、細かな地形を把握するのはなかなか難しい事です。そこで、傾斜の度合いで地図の色分けを行い、直感的に把握できるような地図が開発されています。

ブラタモリでよく登場していた「赤色立体地図」は知名度が高いかと思います。他に「CS立体図」という長野県林業総合センターで開発された地形の可視化方式があり、最近よく目にします。

CS立体図では曲率が正の場合(凸面)は赤、負の場合(凹面)は青で着色される為、地形の凹凸がとてもわかりやすく表現されています。

赤色立体地図やCS立体図は、DEMデータから作成されます。DEMデータというのは、地表をメッシュ状に分割し、それぞれのメッシュ(分割した正方形)に標高を数値で持たせたデータの事です。細かいメッシュのDEMデータを利用すると、詳細な凹凸まで可視化された地図が作成できます。

DEMデータは、航空レーザー測量という手法で航空機を使い作成されますので、個人で作ったり作成を依頼するのは無理ですけれど、国土地理院や自治体などで作成されたDEMデータが公開されていますので、それらを利用することができます。

どこからデータを入手するのか

DEMデータは、国土地理院からダウンロード可能です。10m, 5mメッシュは日本全国が網羅されていますが、1mメッシュは一部地域に限られています。

今回調べたい「高尾山北面」付近を見てみると国土地理院からは5mメッシュが最も細かいDEMデータになっています。上で考察した通り、5mメッシュでは探している穴は見えにくそうです。

ところで、自治体が独自に公開している場合もあります。「G空間情報センター」にデータや情報がまとまっています。が、探し出すのにコツが必要ですので、Googleで検索をして直接飛ぶ方が早いかもしれません 🙂

上手いことデータセットを探していくと「東京都デジタルツイン実現プロジェクト」で 多摩地域点群データを見つけられました!

説明を読んでいくと0.5mおよび0.25mメッシュのLASデータ(点群データ), GeoTIFF形式の標高データ, 陰陽図(CS立体地図と同様に凹:青, 凸:赤で塗り分けた図), 赤色立体地図が提供されています。

むむむ。陰陽図が提供されているのならLASからDEMを作り、CS立体図を自分で作成する必要は無さそうです。というわけで、陰陽図をダウンロードします。

データの表示

6 x 5 = 30個のzipファイルがダウンロードできました。展開してひとつのディレクトリに配置しましょう。メッシュ単位なのでこれだけ見てもよく分かりませんね。

GeoTIFFファイルには位置情報が埋め込まれています。QGISで読み込むと、その位置情報を元に画像を上手い具合に配置してくれます。

高尾山北面の日影沢と城山へ続く日影沢林道、高尾山へ突き上げる郵便道、小仏川(南浅川)の陰陽図です。国土地理院地図を透過して重ねるとわかりやすくてよいですね。

金堀穴を探す

もろもろの準備ができました。それでは武蔵名勝図会からの抜粋を参考にして、金穴を探していきます。

木下沢橋から南へ5,6町行くと谷がある(1町は約110mなので、550 – 660mくらい)

木下沢から600m程度南下すると、日影沢林道と郵便道の分岐点辺りへ到着します。

次は「それより谷川を越えて小仏宿の南に当たる山の中程に古穴あり」です。なんとも曖昧で悩ましいです。小仏宿というのはJRの高尾変電所がある辺りにあった小さな宿場町です。裏高尾からバスに乗ったことがある方は「小仏バス停」付近と言えば分かってもらえるでしょうか。

日影沢林道と郵便道分岐から「谷川を越えて」がよくわかりませんが、621mピークと446mピークの南面に人工的な穴のような地物が無いか探してみます。

日影沢林道と郵便道出合い付近です。陰陽図において凹面は青で塗られます。

緑丸の地形を見ると、上部で尾根が二股に分かれていて、その間の谷間という地形に見えますが、丸く陥没した穴のような地物が浮かんでいます。しかし、その穴状地形の下部も青いので凹面になっています。つまり、この緑丸で囲んだ地形は地滑りが発生したような地形で「自然のもの」と判別できます。

一方で赤丸で囲った部分。青い凹面の下部に「青が無い」事がわかります。このような地形は人工的に作られた可能性が高く、大体の場合、炭焼き窯の跡です。折角なので、大きさを測っておきましょう。

冒頭に書いた通り、金穴は「六から七間」とありますから約10m。大体合ってる!こんなかんじで、探していくといくつかそれっぽい場所が見つかりました。あとは現地へ行くだけですね 🙂


ところで、ぼくの目がおかしいのか、陰陽図をぼんやり見ていると尾根と谷が逆に見えてしまい、見ていると疲れてしまいます。赤色立体地図の方が凹凸はわかりやすい気がするのは何故だろう。。。CS立体図でも同じ場所を比較してみたいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)