[書籍] 日本山岳伝承の謎

コロナ禍の最中は在宅勤務を満喫していました。けれど、社会的に一応治まったということで、今は出勤の日々を送っています。自分自身のコロナ後遺症(主に味覚障害が1年近く)は続いていて、全く終わった感はないのですが。

在宅勤務時は通勤のストレスも無く、正直言って最高だった代わりに外的刺激も少ない生活でした。実際のところ、近場以外は、ほとんど出かけませんでした。

新橋古本まつり

以前は霞が関駅を利用していました。が、コロナ中に引っ越しをしたので通勤経路が変わり現在は新橋駅を利用しています。そして利用しているJR新橋駅烏森口は、ぼくの好きな椎名誠の青春三部作の舞台なのです。

毎日通っていると最短コースを覚えてそのコース以外は通らなくなってしまいがちですが、たまに違うコースを歩くと椎名誠の私小説に出てきたのはどの辺りなのだろう?なんてきょろきょろしてしまいます。

椎名誠の青春三部作

若いころに読んだので今読むと違った感想になるのかもしれませんけれど、面白くて一気読みしたのを覚えています。

毎日の通勤はしんどいですが、たまにはいいこともあるもので。新橋駅前のSL広場では年に4回、古本まつりが開かれるのです。開催されているのは知っていましたが実際に訪れるのは今回が初めて。どんな古書店が出店しているのかもよくわからないまま、早めに仕事を切り上げて駆けつけてみました。

20軒くらいの古書店が出店していて、全体的にミリタリーと鉄道系の専門店が多い感じ。あとは定番の小説。地誌や山岳系の古書はほとんどありませんでした。せっかく仕事を早めに上がったので、全ての店舗の書棚を舐めるように回りましたが、残念ながら欲しい本は見つけられませんでした。

初日は欲しい本が見つからなかったのですが、本は売れたら補充していくと古書店の主人から聞きましたので、最終日の前日、つまり金曜日の退勤後に再び訪れてみました。すると前回は無かった(と思う)「日本山岳伝承の謎 – 山名に探る朝鮮ルーツと金属文化」という本を見つけました。

バラバラと中を確認すると、よくある山の名前やピーク、峠などの名前の由来を考察している感じ。副題の朝鮮ルーツという単語が引っ掛かりますが、金属文化には興味があるし購入することにしました。お祭り価格で300円。安いです。

この「新橋古書まつり」は見た感じ全体的に価格設定が安めで、相場の半額くらいで並べられている印象でした。ぼくが以前にかなり悩んで買った古書が半額以下の2500円で売られていて少し凹みました。

日本山岳伝承の謎

書名: 日本山岳伝承の謎 – 山名にさぐる朝鮮ルーツと金属文化 –
著者: 谷 有二
出版社: 未来社
1983年 6月 15日発行
229ページ

Amazonでも300円くらいで中古品が売られているようです。

目次

第一部: 「マル」地名の謎を追う
第二部: 金属地名の謎を追う

内容の紹介

山の名前に「マル」と付くところが多いと感じた著者は「マル」という言葉のルーツを調べ始めます。たしかに、昔よく登った丹沢に檜洞丸、畦ヶ丸なんて山がありますし、中央線沿線に「本社ヶ丸(ほんじゃがまる)」というかわいい名前の山もあります(結構きつい山ですが)

著者によると、その語源は、この地方へ入ってきていた渡来人が使っていた朝鮮語が由来だという。たしかに日本列島へ多数の渡来人が技術を持って入ってきていたという事は事実だろうが、何でもかんでも朝鮮語由来と言い出し、さすがにやりすぎ感がすごい。

ちょっとゲンナリしてしまいバラバラとページをめくると「日鮮同祖論」という単語が出てきて少し納得してしまった。著者は1939年(昭和14)生まれの戦前派。日鮮同祖論を信じていた世代である。

とまぁ、本書の前半は軽く読み流し、後半の金属地名のトピックへ進むと全然知らない、初めて聞いたような話が載っていて面白い。

ぼくは主に金山などに関連する事柄に興味があり、鉄のたたらなどには興味が無いけれど、丹沢、高尾、奥秩父など馴染みがある場所に関係するのならばその限りではない。その辺りで興味深かったキーワードを抜粋してみる。

  • 一つ目小僧伝説が残る血は金属(タタラ)に関係する土地の可能性がある
  • 宮ケ瀬の金沢と片目伝説
  • 景信山と一つ目伝説
    • 景信山南麓にあったとされる金穴(初耳!
  • 逆(サカサ)川と金属鉱山の関連について
    • 景信山北面に逆川
    • サカサ沢は泉水谷にもある
    • 盆堀川支流に逆川がある
  • 棒ノ折山 ≒ 金精説
  • 刈寄山の金穴
  • 虚空蔵菩薩と妙見=北辰と金属
  • ブドウと金属
    • 勝沼の甲州金はブドウ園から出たんだっけ(関係ない
  • 蛇と金属とムカデ
  • 鶏と金山
    • セーメーバン山の伝説
  • 金精様
    • 大菩薩嶺の石丸峠

列挙してみると情報量が多そうに思える。しかし、著者の推測が多く、信ぴょう性という面からみると少し心もとないと感じてしまう。鉱山技術を日本へ持ち込んだのは渡来人であるのは確かな事だし、元々の地名が訛りや聞き違いなどで変化していく事も本当のこと。昔の事はどうしても推測に頼るのは仕方ないにしても…ね。その辺りを気にしなければ、いろいろな情報がちりばめられていて面白く読める一冊だと思います。

この本を読んで、去年に訪れようとした盆堀川上流にあるといわれる、信玄の金堀穴と景信の金穴は見つけてみたいなーと思いました。

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