7月から引き続きの猛暑が続く8月4日、知人と今年もまた龍喰上流部を散歩しようと計画していました。が!あまりの猛暑の為、延期にしましょうという事になってしまいました。
8月4日の予定が突然ぽっかりと空いてしまったので、何をしようかと考えた結果、以前訪れた龍喰金山 精錬場尾根で、少しの沢遊びと、だれもいない山中で蝉しぐれを堪能しようと決めました。きっと沢は涼しいでしょうから!
前回訪れた龍喰金山 精錬場尾根と精錬場沢を散策した時の記録(2016年)はこちらの記事に書いています。その時は、石臼が転がっていないかなぁと精錬場沢を探索したのですが、先日、湯之奥金山博物館の展示を見て、鉱山遺物には、石臼だけではなく、磨石などの一見普通の石のように見えるようなものもある事を知りました。今回は、前回にあまり歩けなかった精錬場沢を歩く事と、石臼以外の金山遺物を探してみることが目標です!
朝から暑すぎる
いつも通り「道の駅 たばやま」でのんびりと仮眠をしてから出発しようと考えていたのですが、夏の日差しは強すぎて、8時頃から気温が急上昇してきます。こうなるととても寝ていられません。同じように車中で休んでいる方々も起き出して、日陰になる場所へ移動をしたりしています(温泉が開くのを待っているのでしょうか?
山へ入るのならば早い時間に入る方が安全ですし、少し眠いけれど道の駅を出発し、10時頃には龍喰谷への降り口に到着しました。
龍喰谷へ入渓 そして、トラブル
降り口には、二人組の沢屋さんがちょうど出発しようとしていました。挨拶がてら少しお話を聞くとこれから龍喰谷へ入るそうです。気持ちいいだろうなーいいなーと見送りました。
ところで、このお二人に沢ではなくて金山跡を散歩しに行くんだと話すと、「blog書いてますか?」と聞かれてしまいました。リアルで聞かれた事が初めてだったのでとっさに出てきた言葉は「書いてません」。なかなか面と向かってblog書いていますとは答えにくくて。どうもすみません。
さて、車を停めたところから一之瀬川へ降りると普段より水量が多い。渡渉用サンダル(ドンキで980円)で慎重に進みます。
例年だと膝下を濡らす程度で渡渉できるのですが、今年は股下まで濡れてしまいました。
おパンツは濡れましたが、水量が多めなのは悪いことばかりではなく、出合いの滝の迫力が20%アップしています。ドドド~という音も素敵です。
一之瀬川と龍喰沢の出合い周辺は、河床の縞目がとても美しい場所でもあります。ここで水遊びをしていると、もぅ昼寝して帰ろうかなーなんて思ってしまいます。
そうこうしているうちに、足もだいぶ乾き、いよいよ登山靴に履き替えて尾根を登ります。
ここからは結構急登でしんどいのですが、蝉しぐれをBGMに、気持ちいい風を楽しみつつ慌てずにゆっくりと尾根から外れないように詰めていきます。
途中、ちょっとした3mくらいの岩をよじ登るのですが、そこを越えたあたりで左の靴底に違和感を覚えました。あぁ、ついに来たかという諦めと同時に「ヤベー、テーピング持ってきてないよ?どーしよう」という後悔の念が湧き上がってきます。登山中に「靴底が剥がれた」というのはよく聞く話で、ぼくの靴も結構古くて15年くらい履いてますからそろそろかなーと覚悟はしていたのです。
いつ剥がれるかは運だから、剥がれた時、ちゃんと対処できるように準備しとこうと思ってはいたのですが・・・
精錬場尾根へはあと少し。
登ってきた尾根よりも精錬場尾根の方が傾斜が緩やかですし、このままショートカット気味に精錬場尾根へ入り、早めに龍喰沢へ降りてしまおうと進むことにしました。
龍喰金山 精錬場沢探索 そして、ついに・・・
靴底をパカパカ鳴らしながら、精錬場尾根を越えて精錬場沢へ入りました。ここは緑豊かに苔むしていて、涼しい風が吹き、蝉時雨も心地よい気持ちのいい場所です。
しばし、蝉時雨を堪能した後、石臼、磨石など無いかなーとウロウロしていると、あぁぁ、靴底がついに剥がれ落ちました。
学生時代から登山靴はビブラムソールのものを購入していました。それは、蹴り込んで斜面を上がれること、そしてグリップがよく効く事が主な理由です。片足の靴底が脱落してみると、今までいかにビブラムソールに助けられていたのかよくわかります。靴底がない左足は、エッヂが効かず、精錬場沢の緩い斜面ですらツルツル滑ります。
このまま龍喰沢まで降りられるのだろうか?砂金道具の代わりにザイルとハーネスを持ってくれば良かった・・・等と不安になり、石臼、磨石探索を切り上げ、慎重に下り始める事にしました。地形図でなるべくゆるい斜面を選びゆっくり慎重に進みます。
さっさと沢へ降りるか、F1とF2の間に降りるか迷ったものの、渡渉用サンダル(ドンキで980円)で沢の中を歩くのは無謀ですし、右岸の水源巡視道は二ノ瀬まで行ってしまうので、前回歩いた獣道を思い出しつつ、F1とF2の間を目指す事にしました。
ここからは余裕が無く写真が一枚もありません。。。
慎重に進んでも何度か滑り、お尻が泥だらけです。ここは落ちたらヤバイ!という箇所は、ほんとうにゆっくりとまだ靴底が残っている右足をメインにして降りていきます。
F2付近で龍喰沢へ流れ込む、涸れ沢を越えるところが最後の難関です。沢は少し掘れていて、ぼくが乗っている尾根から5mくらい降りる必要があります。靴底さえしっかりとしていればエイッと岩に足をかけて降りられるのですが、この状況では無理もできません。降りられる場所を探して行ったり来たりする事2,3回目でやっと涸れ沢をクリア!あとは、龍喰沢まで土の斜面を下るだけ!
足もとがおぼつかないと通常時より3倍は疲れます。足を置く場所にも気を使いますし、靴底が無事な足を無意識に酷使してしまいます。
数時間前、気持ちいいなとのんびりした一之瀬川と龍喰沢の出合いで無事に降りられたことに安堵していると、空が黒くなり、ゴロゴロと音が・・・水位が上がるとこれまたヤバイので急いで車まで戻りました。
自宅に帰ってから、よくよく靴を見ると右足の靴底も剥がれかけていました。危なかったー
教訓
やはりレスキューキットは作っておくべきでした。それから、やろうかな?と思ったことは先送りしないで、さっさとやること。
地形図は大切。緩斜面の選択とその先のルートを決めるのに、地形図はとても役に立ちます。地形図なしでは、途中で立ち往生していたかもしれません。
いのちだいじに。無理はしないで、引き返して別な安全なルートを探すこと。
もしも、行ってみたいという奇特な人の為に、GPSデータのプロットを載せておきますね。前回のGPS Trackと見比べると大体同じところを歩いているのが分かって面白いです(途中、鹿の獣道をトレースしています)
今回のデータ(2018年)
探索結果
靴底剥がれ体験記になってしまいましたが、龍喰金山精錬場沢の探索はどうだったのか?といいますと、まったく成果なしということになります。一つ、それっぽい石があって、その苔を足で剥いていたら・・・靴底が取れちゃったので、写真をみても全然わかりません!
メガネ掘り道具をザックに入れていたのですが、それどころではなくて、まったく砂金採取はできませんでした。
ここは本当に気持ちの良いいい尾根なので、また来年にでも、蝉しぐれを楽しみに行けたらいいなーと思っています。