[書籍] 廃道を歩く

書店の無い自治体の事を「無書店自治体」と呼ぶらしいです。たしかに、私が住んでいる街の近くでも閉店した書店が増えた気がします。以前、新宿で働いていた時は、帰宅途中に紀伊國屋書店やブックファーストによく寄っていました。ただ、現在、通勤しているオフィスは新宿ではなく最寄り駅近くに大型書店はありません。

それによく購読する雑誌等ならばAmazonやヨドバシドットコムでネットで購入してしまう事も多いのですよね。

というわけで、最近は帰宅途中の乗換駅で途中下車をして、近所では大きめな書店をうろついています。新宿の大型書店には負けますが、品揃えも良く少し入荷が遅い気がするけれど、話題の本は大抵並んでいます。

廃道を歩く

書店の新刊コーナーで平積みされていました。廃道にはそれほど興味があるわけではないのですが、昔の資料を参考に忘れられそうな遺物を見つける行為の面白さには、強く共感できます。

パラパラっとめくってみると、ぼくも何度か行った丹波山村の「黒川通り」が載っていました。「黒川通り」と言うよりも裏甲州街道の一部が明治時代に馬車が通れるように拡張された道という方が一般的かもしれません。

この黒川通り、ぼくは通して歩いたことはありませんが、かなり荒廃していて崩落箇所も多く、黒川谷を越えた後は黒川金山跡へ続く山道と別れた後が、歩く人もほとんどいない状態なのは知っていました。

立ち読みで斜め読みしてみると、なんと大常木橋脇の階段から藤尾橋まで歩いたのだとか。すげー!と即買いしました。

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この本は、廃道歩き(特に隧道が好き)が趣味の著者が日本各地の廃道を歩いたレポートになっています。情報源は様々で、ネットはもちろんのこと「日本の近代土木遺産」という書物、そして発行年代が異なる地形図を見比べたりと、そのあたりの試行錯誤の過程も書かれているのがとても興味深いところです。文章も読みやすく、知らない土地の廃道探索記も興味深く読めました。

なにより驚くのは、崩れかけのトンネルに入っていくこと。ぼくはこんな崩れた穴には絶対入りたくないなぁ。でも、掲載されている内部写真を見ると案外保存状態が良い穴もあるようで、それなら少し覗いてみたい気もします。

書籍情報

書名: 廃道を歩く
著者: 石井あつこ
出版社: 宝島社
2025年 05月 27日発行
160ページ

紹介されている廃道

  • 腰床峠(栃木県足利市,佐野市)
  • 大垂水峠(神奈川県相模原市)
  • 下山隧道(山梨県南巨摩郡身延町)
  • 黒川通り(山梨県北都留郡丹波山村)
  • 田野倉の穴(山梨県都留市)
  • 伊東街道 柏嶺隧道(静岡県伊豆市)
  • 花渕浜築港線(宮城県宮城郡)
  • 新潟県道55号線 間瀬隧道(新潟県新潟市)
  • 国道113号 八ツ口の旧道(新潟県岩船郡)
  • 伊賀街道 長野隧道(三重県津市,伊賀市)
  • 笹立新道(山形県鶴岡市)
  • 矢の川峠の昭和道、明治道(三重県尾鷲市)
  • 戸倉峠明治道と未成隧道(兵庫県宍粟市、鳥取県八頭郡)

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