[書籍] 山岳遭難の教訓

近年の登山ブームで登山人口が増えていて、それに伴い遭難事故も増加しているそうです。ぼくは金山跡などを探して単独で山へ入る事もあり、遭難事故のニュースや報告書などは興味深く読み、自分も同じ轍を踏まぬよう気をつけているつもりです。

そんなわけで、たまにこのジャンルの本を読んだりする事もあります。

この本は、夏の高体温疾患から低体温症、雷に雪崩、道迷いからの幻覚まで、遭難事故を幅広く扱っていて、発生頻度の高い遭難事故がどのようなものなのかという事を知るには良い本だと思います。

さて、あえてこの本をblogで紹介するのは、最後の2章で紹介されているケースが、ぼくがよくうろうろしている山域での遭難事故だからなのです。

お祭~飛龍~雲取

お祭から入山し、三条の湯、飛龍経由で雲取山へという予定がなぜか、飛龍山頂から西へ降りてしまい、大常木谷~龍喰谷周辺を8日間もさまよったというケースが紹介されています。

飛龍山頂から東へ向かわなくてはならないのに、西へ降りてしまうとか、間違いに気づいても戻らなかったとよくある話ではあります。この周辺は地図には載っていない細かい道がたくさんありまして、注意深く歩けば踏み跡を辿るのはそう難しい事ではありません。が、遭難している最中は普通の精神状態ではなくなるそうで、この方は道と交差するコース(辿ったコースは本に載っている)を何度も通っているにもかかわらず、それに気づかずとても危険なルートを選択しているように思えます。

50m下流に水源巡視道がある場所を渡渉していたり、あと50mくらい進めば、ぼくが以前行った事のある精錬場尾根へ出られるのに、突如方向転換してキツいモリ尾根を登ってみたりといろいろ不思議です。

よく歩いている山域が紹介されていると、あぁあそこを登ったのか!だとか、全体的に携帯の電波ははいらないけれど、あの尾根に上がれば電波はいるのに!などと考えながら読むととても身近に感じられます。

三ノ瀬~将監峠~和名倉山

このケースも道を間違えたにもかかわらず戻らなかった事が原因の遭難未遂と特に注目すべき点はないのですが、この未遂事件が起こってから約一ヶ月後に、ぼくは三ノ瀬にあった民宿「しゃくなげ」に立ち寄ったのです。

そこで、章の中にでてくる「犬連れの男性」が行方不明となり、一ヶ月後に犬だけ戻ってきた。という話をおばあさんから聞きました。

本には書かれていませんが、戻ってきた犬は、一ヶ月も山の中に居たにもかかわらず、毛並みは艶々してまったく痩せていなかったそうです。気持ちの良くない想像をしてしまいそうですが、そんな話だったので強く印象に残っています。

しゃくなげで無理を言って作って頂いた、お昼ごはんの写真が残っていました。
民宿「しゃくなげ」はおばあさんが高齢の為山を下ったそうで、今は店じまいされています。
一度宿泊してみたかった・・・


一人で山を歩くのはとっても気持ちのいい事ですが、やはり単独行はなにかあった場合、直で遭難事故につながりますので、慎重に行かなければならないし、基本に忠実に従う事がなにより大切なのだと、この本を読み改めて感じました。

龍喰周辺をウロウロした経験のある方は、とても興味深く読めると思います。

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