近世鉱山をささえた人びと (日本史リブレット)

鉱山と鉱山師

以前はまったく興味がありませんでしたが、砂金採取を始めてから古い(金)鉱山について興味を持つようになりました。最初は、この川の上流に金山があったのかどうか?程度でした。というのは、上流に金山がある場合は下流で砂金が採れる事が多くとてもわかりやすい指針となるからなのでした。

それがいろいろと調べているうちに鉱山師の集団は普通の領民とは異なり、ある種の閉鎖的な社会を作っていて独自のルールに従い生きていた。また、その領主もある程度それを認めていた。という事を知り、鉱山師たちの暮らしなどにも興味がわいてきました。

しかし、金山というのは、その性質上、存在自体が隠されている事が多く、記録がほとんど残っていなかったりします。

この本は、記録が詳細に残っていた秋田藩院内銀山の当時の社会での立ち位置、そこに暮らす人々そして鉱山師たちのコミュニティに焦点をあてて書かれた一冊です。

ぼくが一番興味を持っているのは、山梨の黒川金山から身延周辺の金鉱山です。この本は、地域が異なりますし、時代も近世(江戸時代)ですから、武田氏が抱えていた金山衆とは少し違うのかもしれませんが、鉱山師という歴史ではあまりスポットライトの当たらない人々のあまり知られていない生活を知ることのできる数少ない書籍なのではないでしょうか。

鉱山街の住民たち

鉱山街を普通の人に説明するのに一番分かってもうには「もののけ姫」のタタラ場の村をイメージしてもらうのが一番なのではないでしょうか(いろいろと違う所はあると思いますが)。

タタラ場には、坑道に入り鉱石を掘り出す掘り大工、堀子は出てこなかったような気がしますが、村は女性が居て、それぞれの持ち場で働いているというのは同じで、鉱山街にも女性がちゃんと働いていたそうです。

結婚して所帯を持っている堀子もいたけれど、独身を貫く堀子が多かったそうです。泉昌彦氏の赤本などにも書かれていましたが、堀子の寿命は短く30代で肺をやられて亡くなってしまうそうです。そのため、女性は夫が亡くなると別な堀子と結婚し・・・と再婚を重ねていき、年齢差25歳の夫婦なども普通で、夫と同じ年齢の子供がいるという事も珍しく無かったそうです。

独自のルール

鉱山には里とは違った掟があったそうです。

  • 盗掘、無断欠勤、勝手な脱走は、耳や鼻を剃って!?追放
  • お祭りなどを除き里の者は入山禁止
  • 駆け込み寺の代わりに、駆け込み鍛冶屋
  • 中のことは中で解決
    • 殺人などをのぞき、鉱山の掟で処罰を行う
  • 鉱山を渡り歩く鉱山師には仁義の切り方で仲間かどうかを見分ける
    • フリーメーソンみたいですね!

鉱山師たちの一揆

鉱山師たちも待遇改善を勝ち取るために一揆を行うことがあったそうです。ただし、打ち壊しなどという事ではなく、集団出奔する事で鉱山を創業できない状況にする事で要求をのまそうと交渉したそうです。まるで、現代のストライキのようです。ただし、やはり首謀者にはきつい沙汰があるため、傘連判状のような形で署名したそうです。


鉱山師、山師と書かれるとあまり良いイメージを持たないのが一般的だと思いますが、いやいや決してそんなことはなく、彼ら独自のルール(山法)に従い短い一生を一生懸命生きていた事がわかります。

この視点で書かれた本はあまり読んだことが無かったので、とても面白く読めました。泉昌彦氏の赤本の巻末に鉄鉱山での暮らしぶりが書かれていたり、伝説と怪談シリーズにも、鉱山の話題がちりばめられています。

書籍データ

書名: 日本史リブレット 近世鉱山をささえた人びと
著者: 荻 慎一郎
出版社: 山川出版社
2012年 1月 25日発行

目次

第一章: 近世鉱山社会への眼差し
第二章: 鉱山支配と近世社会
第三章: 鉱山社会の法
第四章: 鉱夫の社会集団
第五章: 鉱業生産と労働、生活
第六章: 鉱山住民の闘い

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