[書籍] フォッサマグナ – 日本列島を分断する巨大地溝の正体 –

以前このblogで書いたかもしれないが、中学時代までは地質に興味を持っていた。火山学者になりたかったのだ。けれども、いざ高校へ進学してみると、残念なことに「大学受験で使えないから」という理由で、地学の授業がまったく無いという事を知り愕然としたことを覚えている。

この書籍の冒頭に、「フォッサマグナって何だか知ってる?」と聞くと珍回答がしばしば返ってくる。と書かれている。

ぼくも、名前は知ってるけど、「実際なんなのかは知らない」という程度で、フォッサマグナと中央構造線、糸魚川-静岡構造線の違いも分からなかった。だからこそ、書店で目に付いたこの本が気になったのだろう。

それで、フォッサマグナってなにか分かった?

イエスでありノーでもある。

というのは、この本の目的は、ただ単に、フォッサマグナを説明しているだけではなく、どちらかというと、「フォッサマグナを軸に日本列島の成り立ちを推理するコト」なのである。

日本列島は、昔から大陸の一部で、氷河期の終わりに大陸から切り離された。と小、中学校で習った覚えがあるが、最近の学説では、もっとダイナミックな動きをしたと考えられているそうだ。

読んでいるうちに、あれ?どこかで読んだ覚えがある学説・・・と記憶を探ると、日経サイエンスの201710月号に「日本海溝移動説」という記事が載っていたのを思い出した。

この雑誌記事には、フォッサマグナはあまり出てこないが(日本海溝が移動している事についての記事なので当然ではある)、この「フォッサマグナ – 日本列島を分断する巨大地溝の正体 -」で説明しているフィリピン海プレートの動きや糸魚川-静岡構造線の成り立ちは、ほぼ同じ内容である。

読んで良かった

以前、今村啓爾氏の「 戦国金山伝説を掘る」を読んだ時に「考古学者がどのように未知の物事に対し調査を進めていくのか」をのぞけたのが印象的だった。

この本でも同じように、地質学者が、考えをまとめていく過程がのぞけたのが、とても面白く、印象的だった。特に、P.76からの南部フォッサマグナの成り立ちを推測していく過程、そして、この本のクライマックスである、6章、7章は一気に読んでしまった。

不満があるとしたら、年代の数値や説明の図などに揺れがあること。ある程度知識のある人が読むのなら、大して気にならないのかもしれないが、僕のような、まったくの素人は、そういう小さな差に躓き、引っかかり、考え込んでしまうので、なるべく表記の揺れは無くして欲しいものだ。

書籍データ

書名: フォッサマグナ – 日本列島を分断する巨大地溝の正体 –
著者: 藤岡 換太郎
出版社: 講談社 – ブルーバックス –
2018年 08月 20日発行
236ページ

目次

序章: ナウマンの発見
第一章: フォッサマグナとは何か
第二章: 地層から見たフォッサマグナ
第三章: 海から見たフォッサマグナ – 日本海の拡大 –
第四章: 海から見たフォッサマグナ – フィリピン海の北上 –
第五章: 世界にフォッサマグナはあるか
第六章: <試論>フォッサマグナはなぜできたのか
第七章: フォッサマグナは日本に何をしているのか

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