なにかの用事のついでに書店で手にとった本。帯の宣伝文句に惹かれて購入した。
かつてこれほど美しい言葉で「地球史」を語った本があっただろうか?
文章があまり科学者らしくなく(失礼!)引っかかる箇所も多々あるけれど、一般向けの啓蒙書という位置づけなのだろう。
地球史を地質と人類の歴史に絡めながら、話題が移ろっていく。対象とする読者が不明なのだけれど、軽い気持ちで読める科学エッセイとしては面白い。
逆に地球史を!と意気込むと買ったことを後悔することになる。
広く浅くいろいろな話題が出てくるので、興味があれば自分で掘り下げてみてね。というスタンスなのか、雑談のネタにどうぞという趣向かもしれない。
ひとつの章が割と短く、寝る前の軽い読書向きである。
面白かったトピック
- マーク・トウェインの名前の由来
- 海底の様子を計測できるようになったのは最近のこと(1980年代)
- 地球史の中でわずか2%に満たない白亜紀が近代人類史に大きな影響を及ぼした
- 世界中に伝わる洪水伝説は、氷河期の終わりの記憶なのではないか
- 人類史と塩の密接な関係
- 塩漬けすると腐らない → 神聖視 → お清め!!
- 玉川温泉と田沢湖
- ニオス湖の湖水爆発
田沢湖に生き物がほとんど居ない理由をこの本で初めて知った。小学生の頃に読んだ本(もちろん小学生向けの本)には、田沢湖の水には毒が含まれているから水中生物はほとんど生息していない。と「だけ」書かれていた。
そのまま田沢湖とは縁のない生活をしていた事もあり、きっと火山性ガスなどが溶け込み生息できないのだろうとこの歳になるまで思い込んでしまっていた。田沢湖に水生生物がほとんど居ない、その理由を知れただけでも本書を読んだ価値があったというものだ。
日本一の強酸性温泉である玉川温泉へ一度行ってみたいです。
書籍データ
書名: 地球の履歴書
著者: 大河内 直彦
出版社: 新潮選書
2015年 9月 20日発行
218ページ
目次
第一章: How Deep is the Ocean?
第二章: 謎を解く鍵は海底に落ちていた
第三章: 海底が見える時代
第四章: 秋吉台、ミケランジェロ、石油
第五章: 南極の不思議
第六章: 海と陸が出会う場所
第七章: 塩の惑星
第八章: 地下からの手紙