丹波川 その33 新しい場所探し(2020.08.29)

「お盆を過ぎたら暑さは落ち着く」よく耳にする文句ですが、暑い日々が続いています。とはいうものの朝晩はそれなりに涼しくなり、キリギリスなど、秋の虫の鳴き声が聞こえるようになってきました。少しずつではありますが、夏が終わろうとしているのを感じます。

春はあけぼの~と書いたのは清少納言でしたか。しかし、夏の夜明けも素晴らしいものです。「道の駅たばやま」朝5:00の風景は、どうですか?空が明るくなりはじめ、夜の間、集落全体を覆っていた霧が少しずつ晴れていく中、駐車場では仮眠を取っていた人々が出発の準備を始めています。

早出をしない僕は熊さんベンチに座り紫煙を吐き出し、美しい風景を堪能していました。

砂金掘り師さんとばったり出会う

8月最後の土曜日「道の駅たばやま」の駐車場で、最近仲良くしてもらっている  ”そうへいさん”にバッタリ遭遇しました。丁度、毎年恒例の龍喰谷散歩に出かける予定が延期となってしまった事もあり、丹波川の新しい場所を開拓しましょう!とご一緒させてもらえることになりました。わーい。

新しい場所の開拓というのは楽しい半面しんどい事でもあります。新しい場所を探してうろうろするわけですから、砂金が取れない事も十分に考えられます。最近よく思うのですが、丹波川は金がかなり薄い気がします。ここぞ!という場所を掘ってもなかなか狙ったような粒は出てきません。昨年の台風の影響で河床へ大量の砂礫が流れ込み、その結果として現れた厚い堆積層が掘る気を削いでくれます。更に、川の水量がなかなか減らず、未だに軽く濁っている状態。

しかーし、一人では投げ出してしまうような事も二人ならば挑戦する気になってくるのです。弊害は、写真撮影を忘れてしまうこと。話をしながら歩いていると、ついつい写真撮影を忘れてしまいます。

今回は、ほとんどの場所で写真を撮り忘れてしまいました。しかも、せっかくの同行掘りなのにそうへいさんの勇姿を撮っていないという orz…

現着

早朝の気温は19度と涼しかったのですが、やはり陽が出ると一気に気温が上昇します。8時頃三重河原の駐車場に到着。少し早かったのか、駐車場にはまだまだ車が停まっていてなんとか2台停められました。

今回の目標

  1. 以前、釣り人から聞いた盤が出ている所を確認すること
  2. 久々にメガネで砂金を見つけること
  3. 行けそうならば牛金淵付近まで行って様子を確認すること

(1) のポイントは、三重河原から少し下った辺り。釣り人が見る盤と、砂金掘りの人が見る盤は着眼点が違うとは思いますが、盤があると言われたら気になるのです。

(2) 夏の暑い日は水に浸かりメガネ掘りをしていないと暑くてぐったりしてしまいます。今年は海水浴へも行けなかったので水遊びをしたい!

(3) 丹波川周辺で砂金掘りをする人なら一度は聞いたことがあるはず。でも恐らく牛金淵までは行かれない…かな

盤?

河原へ降り少し川を下ると、確かに岩盤が見えてきます。風化が進み、岩盤全体をクラックが縦横に走っています。懸念点としては、カーブの外側にある事ですが、増水時、水がぶち当たり重いものは下の溝に溜まりそう。早速、そうへいさんは溝を掘り始めています。

ぼくはその先にある牛金淵付近へ行ってみたかったので、そうへいさんと別れて先へ進みます。

牛金淵

丹波川周辺の伝承を調べていると「牛金淵に黄金の像を沈めた」という話がでてきます。黒駒の勝蔵が牛金淵で砂金採取を試みたり、松木源十郎が牛金淵付近で同じく金を掘っていたりと、伝承は黄金色に輝いています。

[参考文献] 泉昌彦 著「信玄の黄金遺跡と埋蔵金」52,53ページ

三重河原から何度か渡渉しつつ400m程度下ったところに牛金淵の入り口がありました。そこで5,6m程の川幅が、2mくらいまで狭められ、激流が白波を立てて岩陰へ消えていきます。

行かれるところまで行ってみようと右岸の岩に取り付きます。先はゴルジュになっていて陽が差さないのでしょう、岩肌には苔が付き、ヌルヌルしています。足を滑らせてポチャンと落ちたら絶対やばい。

砂金を採る時、ウェーダーと呼ばれる長いゴム長靴をはいています。このウェーダーって川に落ちた時、とっても危険な気がするのは僕だけでしょうか?

スキューバダイビングでドライスーツで潜る時の注意点のように、ウェーダーを着たまま水中で逆さまになると、足に空気が溜まり逆さまの宙吊り状態のまま起き上がれず溺死の危険があるのではないか?いつも怖いなぁと思っています。

ググってみると、この牛金淵をカヌーで通過する人がいるようです。先が見えない激流に突っ込んで行くとは・・・ぼくは怖いのでここで引き返しました。

とりあえず目的の牛金淵入り口を見ることができて満足です。

せっかく来たし、少しメガネやろうかな?そうへいさんに「少しメガネをしてから戻ります」とLineしようと携帯を見ると、ザ☆圏外。

水の中を見ると少しだけ盤になっていて、丁度、足元に小石の詰まったクラックがあります。これを一本掃除して戻りましょ。

小さいですが久しぶりのキラっとした煌めきです。ピンセットで摘むのは本当に久しぶり。この瞬間のために川へ通っているのです。

この砂金、丹波川では珍しく立体的でした。小さな粒が集まって大きくなったのが写真からも分かると思います。

三重河原へ戻る道筋、ところどころ気になる場所でメガネ掘りをしてみるも何もなし。ほんと金が薄いなーと思いつつ最初の岩盤へ無事に戻りました。

最初の盤

最初の盤に戻ると、そうへいさんはお疲れのご様子。なにやら、掘り始めてすぐに大きめの金属ゴミがいくつも出てきたそうで。それは期待しちゃいますよね。なのに粉が1,2粒しか出ないんだとか。

そうへいさんの丁寧な草の根洗いとパンニングには定評があって「草根引きの神」と一部で呼ばれているそうな。そんな彼のパンニングでも粉金が1,2粒。当然、ぼくがやっても金雲母と砂鉄ばかり。

粉金にもランクがあり、彼曰く「小麦粉級」だそうです。他にはどんなのがあるんだろう(笑)

結論: ここはダメだ

金属ゴミが出るのに粉ばかりということは・・・そもそも金の供給が少ないのではないか。そんなように感じました。

そうへいさんと分かれて下流へ向かってから戻るまで90分程度。なかなか戻らない僕を心配して下さっていたようで、申し訳なかったです。

道の駅前

三重河原の砂金掘りを諦めて、道の駅前の河原で草根引きをすることになりました。行ったことがある方はわかると思いますが、日を遮る日陰がないのです。炎天下でおにぎりを食べていると暑くておかしくなりそうです。

そんな時は、川の中に座ると気持ち良いです。水の中に腰を下ろしてそうへいさんが草を洗っているのを眺めていると・・・眠ーくなってきます。

ぼくも少しパンニングをしてみましたが、暑くてあまりやる気にも起こらず、14時ころ解散しました。

そうへいさん、付き合ってもらってありがとうございました。またどこかで見かけたら声かけてくださいっ!

最後はのめこい湯へ

のめこい湯は、現在3時間制限中。16時に入れば閉館の19時まで楽しめます。この時期になると18時を過ぎ薄暗くなってくる時間の露天風呂が良い雰囲気なのです。

さて残り2時間どうしよう?保之瀬へ行きたい気もするけれど、そんな気力も無し。

結局、駐車場の木陰に椅子を出し、先日届いた砂金の本を読みながら、ぼんやりグッタリ、うつらうつらして過ごしました。

著者の伊藤さんも書かれているように、ぼくもなるべく現地でお金を使うようにしています。道の駅でソフトクリーム、のめこい湯に入り、食堂で天ぷら盛りそばを食べます。

右上の天ぷらのかごに「ユウガオの天ぷら」が乗っていました。ユウガオの天ぷら!?初めて食べました。うーん、微妙(笑)

とっても暑い日でしたが、めったにしない同行掘りはとっても楽しく充実した一日を過ごすことができました。

そうへいさん、ありがとうございました。また是非ご一緒させて下さい。

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