GISを使って河川の勾配を調べてみた

砂金採取の経験が無い方はに、砂金が取れると言われる川ならば「どこで探しても砂金が取れる」と考えている人が多いような気がします。

ところが、実際に「砂金が取れる川」へ出かけてあてずっぽにパンニングをしてもキラッと光る粒を見る事はなかなか難しいのです。

砂金取りとは
一に、寄場
二に、寄場
三、四が無くて
五に、時の運

なのだと思います(個人の感想です 🙂 )

寄場って?

それならば、「砂金が取れる川」のどこでパンニング皿を使えば良いのでしょうか?広い川のどこかに砂金が集まって沈んでいる場所があるのです。これが、寄場です。寄場を推測し探す事は、おそらく砂金採取を趣味としている方々の永遠のテーマです。

ぼくが一番最初に読んだ書籍では、砂金が集まりやすい場所が説明されていました。しかし、逆パターンの場所に寄せる事もあったりします。それらの説明されている事柄は基本事項であり、その他の様々な条件を組み合わせて熟練の砂金掘り師は寄場を見つけていくのだそうです。

砂金が水中でどのように流されるのか、水流を想像したり、増水時の川の様子を想像しながら砂金を取るのが楽しいと感じる先輩諸氏も多いようですね。

ぼくはとても飽きっぽい性格なので、取れないと簡単に諦めてしまいます。更に悪いことに砂金を取っている間、頭の中は真っ白。なんにも考えていません。それが、僕にとってリラックス効果(?)がありとても心地よいのですが、砂金の採取量には結びつかないのが悲しいのです。

川に居られる時間は限られていますから、できれば、自宅で寄場がありそうな場所を探し、頭を真っ白にする時間を長くしたいのです。

GIS(Geographic Information System)

前置きが長くなりました。

荒法師なBLog さんのところで、カシミール3Dを使って河床勾配図を作た記事を読みました。地図を使い川の勾配を調べ、なだらかな場所に砂金が溜まりやすいのではないか?という理論です。自宅で寄せ場候補地を絞り込んでから川へ出かければ効率的ですよね!

もともと地図は好きですし、昔からGISを使ってみたいと思っていたので、いい機会とチャレンジしてみました。

wikipediaによれば、GISとは

地理情報および付加情報をコンピュータ上で作成・保存・利用・管理・表示・検索するシステムを言う。

だそうです。なるほどわからん。

地形、標高、土地利用情報(市街地、森林、植生)などの地図っぽいところから、行政区域や気象データ(その場所の年間降水量とかとか)、さらには、公共施設の場所、病院、人口密度などなど、地理情報と結び付けられるようなあらゆる情報をまとめて管理したり、表示したり、計算したりすることができるシステムということなのでしょうか。

最初、とても複雑で難しそうだという印象を受けました。
そして、その通りでした。

目標:多摩川の勾配をグラフにしたい

複雑なことに挑戦する場合の戦略は世界共通です。

  1. 基礎知識を得る
  2. 簡単な事を試してみる
  3. 目標を立て単純化して実現する

基礎知識を得る

「3文字アルファベット」には、耐性があると思っていたのですが、GISについて検索をかけると知らない「3文字アルファベット」の嵐でまずは基礎知識を得なくては話にならないということで、一冊本を購入しました。

  • 地理空間情報説明
  • 測地系の説明
  • 空間参照系の説明
  • 個人でも無料で利用できる地理データの紹介
  • GISで使われるデータフォーマットの説明
  • 入手可能なデータを使った地図作成の説明
  • QGIS操作説明

と盛りだくさんです。GISについての知識がない人には良書だと思います。QGIS 3.2ベースに書かれていますが、最新版の3.8でもだいたい一緒です。

QGISというのは、OSSのGISツールで、商用に引けを取らないくらい機能豊富だそうです。ぼくの目的も、pluginを利用して実現しています。

データを集める

ぼくの目的の「多摩川(丹波川)の勾配グラフ作成」に必要なデータを集めます。

1.DEM

なにはともあれ、地形と標高のデータがなくては話になりません。
国土地理院からDEMメッシュをダウンロードすることができます。

基盤地図情報ダウンロードサービス
https://fgd.gsi.go.jp/download/menu.php

2.河川データ

多摩川(丹波川)のLine shapeデータも必要です。これは、河川が線(Line)として登録されているベクターデータセットです。

国土交通省の国土数値情報ダウンロードサービス
http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/index.html

3.データ変換ツール

DEMメッシュをGeoTIFF形式のラスタデータに変換する必要があります。QGIS上でも可能なようですが、こちらのツールを利用する方が簡単です。

基盤地図情報標高DEM変換ツール
https://www.ecoris.co.jp/contents/demtool.html

グラフを描く

データがそろったので、さっそくグラフを描いていきます。

(1)のDEMメッシュを(3)のツールでラスタデータに変換します。

DEMメッシュをGeoTIFFに変換したラスタデータ、(2)の河川データを読み込みます。ついでに国土地理院標準地図も読み込んでおきましょう。

すべてのデータを読み込んだら、Terrain profile plug-inを起動して、準備完了です。

なめとろ周辺の勾配グラフ

ナメトロ周辺を拡大して、河川データのLineを選択すると表示されました!

上の赤点が、下のグラフの交点と一致します。しかし、あの辺りにそんな落差はあったっけ・・・?

データさえそろえてしまえば、ワンクリックでグラフが表示されます。楽しい!

村営釣り場周辺の勾配グラフ

次は、緩やかと思われる、村営釣り場付近を調べてみましょう。

なぜか上流下流が入れ替わってます。不思議。選択された約300mのあいだに3m程度下っている事、勾配は一定ではなく緩急の存在がグラフから読み取ることができます。
※ データ精度のせいかもしれません

精度について

いろいろな河川の勾配を調べていると、上流から下流の向きなのに、登っているように表示されてしまう箇所がいくつもありました。

これらはDEMデータの精度なのか、それとも、GetTIFFと河川データの参照系が異なってしまっているのか。もう少し調べてみる必要がありそうです。

今回利用したDEMは10mメッシュを利用しています。最初は、精度の高い5mメッシュを利用していたのですが、航空レーザー測量では水面標高が測量できない(?)のか、5mメッシュのDEMデータに水面の標高が入っていないんです。ここだけで、1週間以上ハマりました。

最後に

GISに挑戦しようと調べ始めてから、ここまで約2週間もかかってしまいました。GISに慣れている方ならば、5分でグラフ作成まで終わらせられるでしょう。ほんのさわりの機能を使うだけでこんなに大変で楽しいとは。もっともっと便利に使えるはずなので、新しいネタを見つけたらまた挑戦してみたいと思います。

このページの画像は
国土地理院の数値標高モデル,地理院タイル
国土交通省国土数値情報
を利用して作成しました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)